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 【研究室訪問】

文学部 歴史文化学科 天野忠幸 准教授

恵まれた環境にある天理大学に誇りをもとう

信長・秀吉の英雄史観を覆す

 大河ドラマなどでおなじみの織田信長や豊臣秀吉、徳川家康の時代より、少し前の時代を研究している。近年、戦国時代最初の天下人とも評価される三好長慶や、その片腕の松永久秀などの武家権力を通じて、分裂していた日本が、どうやって再び統合に向かうのかをメインテーマにしている。また、久秀や荒木村重など、信長から離反した武将の検討から、織田政権の矛盾や問題点を問い直している。
 

下剋上と活力の時代

 三好氏や織田氏は巨大な権力だが、歴史は一部の権力者だけのものではない。戦国時代はさまざまな人物が従来の秩序を乗り越え、成り上がっていく下剋上の時代であった。それは武士だけではなく、商人や文化人、宗教者、百姓たちにとっても同様で、そうした活力によって、社会は支えられていた。久秀のブレーンには、天皇の後宮女房だった妻広橋保子、天皇の教師と言われた儒学者清原枝賢、新陰流の創始者柳生石舟斎、豪商にして茶人の若狭屋宗可など、多種多様な人たちがいた。武士以外にも視野を広げ、戦国時代の全体像を明らかにしていきたい。
 
 

時代劇がきっかけで研究者に

 歴史学に興味を持ったきっかけは、小学校高学年で見た時代劇で、現代とは異なる価値観の中で、命をかけて行動する姿に驚いた。高校生になると、博物館で南蛮美術や武将の画像、古文書などを見て、これらを実際に取り扱う仕事に就きたいと思った。最初は博物館学芸員になりたかった。
 私が大学に入学した年は阪神淡路大震災があり、避難しながらの受験だった。また、大学4年生の時は大変な不況で職自体がなかった。そうしたこともあり、自分がやりたいことをやった方が良いと考えて、大学院に進学した。その中で、自分で問題を見出し、自分で明らかにしたことを、学生に伝えることができる大学教員が良いと思い直し、現在に至っている。

 

歴史を学ぶこととは

 確かに歴史学を学んでも、高収入が得られるということに直結はしない。しかし、最古の学問の一つとして生き残ってきた。それは現在が過去の積み重ねであり、過去と無関係に存在しえないからだ。過去の話を聞いて面白がるだけならば、趣味で良い。それに満足せず、現在とのつながりを意識し、社会の問題を考えるから学問になる。
 古文書を読むことも、現在伝えられている誤ったイメージを打ち壊し、真実を知るための基礎作業である。それはフェイクニュースに踊らされず、自ら情報ソースを確認し、発信するトレーニングにほかならない。
 そういった意味で、小手先の技術ではなく、現在を生きる基本的な思考を身に付けようとしているのだと考えてほしい。
 

天理大学の恵まれた施設を積極的に使おう

 私は他大学にも非常勤講師として出講するが、授業開始時にあいさつをすると、きちんとあいさつを返せるのは天理大学だけだ。少人数ということもあるが、このようなまじめさや礼儀正しさは、今後も受け継いでいってほしい。
 その反面、自分の大学の良さが分かっていない学生もいる。例えば昨年、天理図書館の国宝が天理参考館で展示された。同様に国宝展を開催していた京都国立博物館に行くと何十分も待ち、決して安くはない入場料を払わねばならない。本学の国宝展に天大生が行けば、待ち時間もなく、無料で見学できた。そういう素晴らしい環境にいることを自覚してほしい。
 天理図書館には学外者がうらやむ貴重な資料や多数の書籍があるのに、わざわざほかの図書館を利用する学生が多く、不思議に思う。もっと学内の施設を使いこなし、これだけ恵まれた環境にある天理大学に誇りを持ってほしい。
 卒業して社会に出てから、あれもこれも天理大学にあったと気付くものなのかもしれない。しかし、後から見ておけば良かった、使っておけば良かったと思うのは、もったいないですよ。
 
 
 

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