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 【宗教学科】

新入生・在校生への教員メッセージ② 宗教学科 岡田正彦 教授

宗教学科の皆さんへ

1年次生の担任の岡田正彦です。新学期はなかなか始まりませんが、桜は満開ですし日差しは暖かくなってきました。人間の事情とは関係なしに、自然の時間はどんどん進んでいきます。

皆さんの人生にとって、現在は18~22歳くらいの一番充実して輝いている季節です。こんな時期に、時間を止めてしまうのはもったいない。社会の時計は止まっていますが、人生の時計は止めずに動かしましょう。とはいえ「家にいる」ことが大事な時期に、いったい何ができるのか。ネットで動画を視聴するのも楽しいでしょうが、こんなときこそ時間をかけて、本を読むことをお勧めします。

私が大学に赴任して3年目くらいに、体育祭で学生チームとバスケットボールの試合をし、アキレス腱を切って入院したことがあります。そのときは落ち込みましたが、病院のベットの上でカントの『純粋理性批判』をじっくり読んだことが、その後のさまざまな研究活動に生かされました。手もとの本を読むことしかできなかったから、時間をかけて古典を読み深めることができたのです。

考えてみれば、現在ほど読書に適した時期はないかも知れません。各学年の学びと私の授業に関連した図書を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

新入生

1年次生の科目は、必修の「天理教学概論」を担当します。新入生には、出来れば読みやすい新書を紹介したいのですが、残念ながら「天理教学」をシンプルに解説した本はありません。

・諸井 慶徳『諸井慶徳著作集(上巻)』(天理教道友社)

まず、この本を手に取ってみてください。そして、その難解さと向き合い、途方に暮れてください。とくに最初の「天理教神学序章」がお薦めです。

野球のチームに入って最初から簡単にエースの球を打ち返すよりは、まったく歯が立たずに三振したほうが、ファイトが湧いてくるはずです。まずは学問の「難しさ」を学びましょう。

宗教や思想について簡単に解説した本は、ほとんど何の役にも立ちません。シンプルな知識だけなら、ネットの情報のほうがまだましです。なかなか本が手に入らない人は、「宗教文化教育推進センター」(http://www.cerc.jp/index.html)のサイトで宗教についての基礎的知識を学びましょう。参考文献もたくさん紹介されています。また、天理教の公式ホームページ(https://www.tenrikyo.or.jp)に「天理教について」という紹介コーナーがあります。ここに掲載されているような基礎的な知識は、まず知っておいてください。

2年次生

2年次生の科目としては、必修の「宗教学概論1」があります。でも、この授業自体が参考文献を紹介する授業です。私の専門により近いのは、「宗教学特殊講義3/日本宗教史」です。大学のホームページに掲載されたプロフィールを見てもらうと分かりますが、近代日本の宗教思想を扱う学会の会長もつとめています。

この時代の宗教思想を研究している最大の理由は、この時代の歴史が天理教の教祖伝や教会史の背景になる時代だからです。この授業では、次の2冊の本が参考図書に指定されています。

・安丸 良夫『神々の明治維新』(岩波文庫)
・ジェームス・ケテラー(岡田 正彦訳)『邪教/殉教の明治』(ぺりかん社)

2冊目の本は、留学中の指導教授の著作を私が翻訳したものです。若い頃の翻訳なので、読み返すのは恥ずかしいのですが、原著の内容は素晴らしいと思います。ぜひ、手に取ってみてください。

3年次生

3年次生の演習では、最近は「おさしづ」を皆さんと一緒に読んでいます。かつては、「こふき本」の写本を写真版で読んでいました。古文書の勉強にもなりますので、学生の要望が多ければ内容を変更する可能性があります。参考図書は、次の本です。

・中島 秀夫・山本 久二夫『おさしづ研究 上・下』(天理教道友社)

この本は授業のテキストとして使いますので、できるだけ購入するように指導しています。自宅や所属教会で見かけたら、なるべく手もとに置いておいてください。
まったく「おさしづ」に馴染みのない人は、学術書ではありませんが、次の本を参考にしてください。まず、「おさしづ」の言葉に慣れ親しむことが大切です。

・岡田 正彦『おやのことば・おやのこころ 1~4』(天理教道友社)

4年次生

真面目に科目を履修した4年次生は、基本的に卒業論文の執筆と演習の発表で1年間を過ごすことになります。卒業論文に取り組む皆さんにお薦めしたいのは、次の2冊です。

・梅棹 忠夫『知的生産の技術』(岩波新書)
・外山 滋比古『思考の整理学』(ちくま文庫)

『知的生産の技術』は、研究論文を執筆するための基礎を学ぶ必須の古典です。とても古い本なのですが、デジタル時代にも活用できる知識の整理の仕方を学ぶことができます。私自身、何回も読み返してきましたし、実際に本書で紹介されている手法を使って研究してきました。

『思考の整理学』は、これから研究論文に取り組む姿勢を身につけるために、ぜひ読んでほしい本です。冒頭で著者は、「グライダーではなく、飛行機になれ」と説いていますが、研究にとって最も大切なのは「自ら考える」姿勢です。こういう本を1冊読むと、人生が変わりますよ。

最後に全学年の皆さんにお薦めしたいのは、次の本です。

・丸山真男『日本の思想』(岩波文庫)

授業のテキストには使っていないのですが、この本を読んだ人とそうでない人では、4年間で受講する私の授業の理解度に、大きな差が出ると思います。ぜひ、読んでみてください。

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