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 【歴史文化学科 考古学・民俗学専攻 卒業生からのメッセージ】

卒業生からのメッセージ「博物館の仕事、埋蔵文化財の仕事」

小林 善也 (考古学・民俗学専攻 1998年度卒業)
下関市教育委員会文化財保護課
天理大学との出会い

私は、平成11年3月に考古学専攻(現在は考古学・民俗学専攻)を卒業しました。卒業後は(財)山口県埋蔵文化財センターで2年間ほど嘱託調査員をしたのち、平成14年4月から山口県豊北町(現在下関市)の土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアムに学芸員として採用され、現在は下関市教育委員会文化財保護課でおもに埋蔵文化財に関する仕事をしています。

小学2年生の頃には恐竜発掘、6年生の頃には遺跡発掘に強く惹かれていた私は、高校生になっても大学では考古学を勉強し、漠然とそれを生かした仕事に就きたいと思っていました。そんな私の天理大学へ入学するきっかけは、地元山口県で当時埋蔵文化財の仕事に就かれていた方からの薦めでした。他の大学では少ない1年次からの専門分野のカリキュラム構成、少人数制による細やかな指導、考古学と民俗学の融合をはかる学風、そして歴史の舞台・奈良というフィールドなど、考古学を学ぶうえで恵まれた環境にあると感じたからです。

実際、天理大学に入学してからは、先生から自治体の発掘現場でのアルバイトを紹介していただき、そこで発掘調査や考古学のイロハを学ばせてもらいました。そこでの経験が、「自分は考古学が好き」「職業としたい」という自覚につながったように思います。

博物館の仕事、埋蔵文化財の仕事

現在の仕事に就いて13年がたちます。そのうちの11年は博物館学芸員として、日々の調査・研究にもとづいた企画展や講座で、国史跡・土井ヶ浜遺跡や地域の歴史を紐解き、人間が紡いできた歴史のおもしろさ、魅力を伝えることを心がけてきました。また、土井ヶ浜遺跡が国史跡になるきっかけとなった、1953年から1957年にかけての学史に残る発掘調査の成果をまとめる報告書の作成を手がけることができ、考古学?冥利に尽きる仕事となりました。このミュージアムでの11年間の仕事がいまの私のベースとなっています。

現在は、博物館から離れ、埋蔵文化財を中心とした文化財保護行政の仕事に従事しています。開発によって失われる遺跡を記録に残す「発掘調査」や事前の「試掘・確認調査」、踏査による地表観察によって遺跡の有無を読み取る「分布調査」をはじめ、地域の文化財を価値づけて史跡に指定する仕事などをしています。そのなかで、取り扱う文化財は博物館学芸員をしていたとき以上に広くなり、民俗的な文化財をはじめ考古学の対象とは外れた文化財が身近なものとなっています。そんな場面に触れるたびに、天理大学で学んだ民俗学的な方法や視点の大切さを改めて考えさせられ、仕事に生かすことにつながっているように思います。

考古学のおもしろさ

考古学の楽しさ、面白さは、遺跡(遺構・遺物)に記憶された人の営みの歴史の奥深さを体感できることにあると思います。旧石器時代から、最近では近現代までが考古学の対象となりますが、どの時代の遺跡であっても地中に埋もれていた遺跡が目の前に姿を現すとき、そこに生きた人々の証を力強く伝え、地域の歴史をより豊かに語りかけてくれる大切な資料になります。そして、物言わぬ出土資料をつなぎ合わせ、当時の人々の暮らしぶりや社会のあり方を復元することは、地域の歴史に深みを与え、地域の誇りを呼び覚ます活力となる可能性が秘められています。

発掘調査は、事前に遺跡情報を整理してある程度の予測をたてて臨みますが、やはり「掘ってみないと何が出てくるかわからない」という緊張感がとても魅力的です。予測を超えた遺構や遺物が出土する場合も多く、新しい発見に遭遇します。一方で発掘調査は、結果として遺跡を壊す作業とも言われ、一度発掘するとその場所は二度と本来の状態には戻りません。ですから、発掘現場での自分の判断一つで大切な情報を失うことにもなりかねません。自分の専門分野のことであればある程度の対応はできますが、大抵は専門外なことが多いものです。ですから、対応力を少しでも高めるためには、日々さまざまな知識を蓄え、勉強することが大切になります。発掘調査には苦楽はつきものですが、その経験はきっと人生の宝物になるはずです。

考古学を学ぶことで、ぜひ時空を越えた人々との出会いを楽しんで欲しいと思います。

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