医療学部セミナー紹介
臨床検査学科 増谷 弘
福岡大学スポーツ科学部スポーツ栄養学・生化学川中教授、産業総合研究所健康医工学部門木戸先生博士をお招きして医療学部セミナー「骨格筋が血糖を取り込むメカニズムーTXNIPの果たす役割—」を9月8日別所キャンパスにて開催しました。
骨格筋は筋収縮のエネルギー源としてインスリンの作用を介して血糖を活発に取り込みます。２型糖尿病ではインスリン抵抗性（血糖を下げるホルモンであるインスリンが効きにくいこと）がその要因となっています。筋が血糖を取り込むメカニズムは、運動生理学あるいは臨床医学(糖尿病)の分野で古くから興味の対象でしたが、未だ不明な点も多いです。病気の際のベッドレストなどの不活動では、インスリン抵抗性が上昇することが知られています。
今回、不活動の時に起こる骨格筋でのインスリン抵抗性が上昇する機構をTXNIP(チオレドキシン相互作用タンパク質)ノックアウトマウスなどマウス・ラットのモデル実験系を用いて解析された結果が紹介されました。
医療学部の教員に加えて、体育学部や天理よろづ相談所病院からの参加も得て、アスリートの代謝の特殊性、全身と筋肉の代謝について、モデル動物実験系の詳細、分子生物学的機構など様々な観点からの活発な討論が行われました。今後の共同研究や学術交流への発展も期待され、有意義なセミナーとなりました。
