本書は、これまで半世紀以上にわたり国際法と国際政治の領域において、傑出した研究と理論、具体的提言と行動を通じて大きな足跡を残してきた、リチャード・フォークの "Power Shift: On the New Global Order (London: Zed Books, 2016) を訳出したものである。フォークは、世界的に著名な行動する研究者である。1960年代末以降、S・H・メンドロヴィッツを中心とした「世界秩序モデル・プロジェクト」（WOMP）の立ち上げに携わり、構造的格差の克服に向けた、より平和的で公正かつ人間尊重的な世界秩序を追求してきた。本書では、「パワー」「地政学」といった国際政治の伝統的な概念を再検討し、さらに「地平」や「市民巡礼者」という彼独自の用語を用いて、21世紀の新たな世界秩序について論じている。