アジア・オセアニア研究コース

「アジア社会文化特論」特別講義  2012年6月13日

演題:「経済連携協定(EPA)による外国人看護師・介護福祉士候補の受け入れ——天理市・奈良東病院グループ「ふれあいの里」のとりくみ」

講師:
岡田智幸氏(奈良東病院事務長)
アン・カトリン氏(清寿園介護福祉士候補)


外国人人材を積極的に育成する奈良東病院から、事務長の岡田さんとフィリピン人介護福祉士候補のアンさんにお越しいただき、受け入れの現状と課題についてご講演いただきました。同病院では天理大学OBもたくさん活躍しているそうです。受講学生約60名と教職員5名が来聴し、不況・少子高齢化時代の就職活動についても貴重なアドバイスをいただきました。

<学生・教職員の質問票から>

Q:岡田さんが外国の方々を受け入れるとき、最も大変と思われる点は何ですか?

A:1人1人の方が自立して安心して生活していただけるように支援することです。そのために、特に来日されてから1ヵ月ほどは、多くコミュニケーションを図れるようにしています。

Q:自分は何の資格も特技もなく、どんな仕事につくべきか悩んでいます。岡田さんのご経験から、何かアドバイスをいただけますか。

A:いざ自分が社会に出て働くことをイメージすると、不安になったり悩んだりすることは当然だと思います。みなさんの今後の活動に参考になるかどうかわかりませんが、少しアドバイスさせていただきます。
<仕事を探すきっかけについて>
・ 自分の今までの人生経験の中で、何か興味を持ったことに視点をあててみるのはどうでしょうか。
・ 大学で所属している学科やスポーツ等に目を向けてみるのはどうでしょうか。
・ 求人先が多くあるという観点から、もし興味があれば看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった医療の専門職への道はどうでしょうか。日本の需要と供給のバランスからも、一般企業等と比べて採用率が高いと考えております。再度、大学等に入学する必要はありますが、奨学金制度等も活用できますので、決して社会へ出る上で遠回りではないと思います。興味があればいつでもご連絡ください。
・ 「自分は何の資格も特技もない」という視点よりも、とにかく社会人になることを目標にするのはどうでしょうか。最初は興味がなかった職場が、働いてから好きになっていくこともあります。大きな視点で仕事ということを捉えていただいた方がよいと思います。

以上のように視野を広げ、ゆとりをもってリラックスして、何かきっかけを作って前に進んでください。就職活動することで、新しい発見があるはずです。
Q:アンさんは日本で苦労されていませんか?日本人の良い点を挙げて下さいましたが、日本人の嫌な点についても本音で聞かせて下さい。

A:はい、苦労しています。以前日本に住んでいたことがあるので、周りからはどんな日本語でもわかるだろうと思われることが多く、努力を努力と認めてくれない時もあります。周りの期待が大きすぎるのかもしれません。何でも理解できていると思われていたので、わからないことも初めは聞けずにいました。現在は聞けるようになりましたが、初めは不安でした。
あとは、時々、文化の違いで苦労することがあります。例えば、「SEXY」という単語を使った際に、自分では「スタイルがいい」という意味で使ったのに、相手にはいやらしい意味に取られてしまったことがあります。
「日本人の嫌な点」は「建前」。本当はどう思っているか、どう使い分けているかがわからないです。もう一点は、日本のドラマを見ていると、感謝の心が足りないように感じることがあります。

Q:アンさんは日本語以外に、介護の仕事では何が大変ですか?また、やり甲斐は何ですか?

A:患者さんの移乗やお風呂介助等は覚えたらできるようになりますが、患者さん(利用者さん)ひとりひとりに何が必要なのか何を求めているのかを理解するのが大変です。やり甲斐は「ありがとう」と言われるときです。笑顔で過ごされている人も見ると、自分もうれしくなります。高齢者の方と一緒にいて、人生のラストを笑顔で過ごしてほしいなと思っています。

Q:アンさんは日本でずっと働きたいと思いますか?

A:はい、日本で働けるのであれば機会がある限り働いていきたいです。

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