アジア・オセアニア研究コース

「アジア生活文化概論」特別講義  2012年6月5日

演題:「インドネシアの宗教と石造文化——ジャワと中部スラウェシの宗教遺構から」

講師:秋山成人氏(奈良市埋蔵文化センター)
演題:「インドネシアの宗教と石造文化——ジャワと中部スラウェシの宗教遺構から」

 天理大学インドネシア学科OBの秋山さんをお招きして、インドネシアの石造文化についてご講義いただきました。学生たちは本物の磨製石器の見本にも触れてちょっと興奮気味でした。

<学生の質問票から>

Q:現在の研究に興味をもたれたきっかけは何ですか?

A:天理大学在学中に、インドネシアの遺跡に興味を持ちました。当時、博物館学芸員課程の考古学を指導されていた金関恕先生(現名誉教授)から『世界考古学事典』(平凡社)を読むこと勧められ、調べていると中部スラウェシのベソアの石人像やナプ・バダの名称が記されていました。これをみて、いつか実見したいと思うようになりました。

Q:同じインドネシアでも、地域によって石造の造形が若干違っているということは、
それぞれの地域で(ある程度)独自の文化が築かれていたということなのでしょうか?

A:ナプ・ベソア・バダの3地域は同一の石造文化と考えられます。造形の違いは製作年代(時期)といった時間経過を示す場合と地域の特徴を示す場合があります。この地域の場合、両方が考えられます。しかし独自の文化と呼べるほど異なった特徴ではありません。

Q:石像に男性器や女性器のシンボルが彫られているものもあったが、子孫繁栄を願う
ためでしょうか、あるいはそれ以外にも意味があるのですか?

A:今のところ生殖器崇拝と呼ばれるもので多産・豊穣をもたらすことを願った造形で
あると考えていますが、今後、再考察する必要があると思います。

Q:男性の石像が多いのは、当時も男性中心の社会だったためですか?

A:男性の石像以外に、2体対(夫婦?)で並んでいるものもあります。石像数の割合だけで当時の社会を男性中心であると判断することは出来ませんが、可能性はあると思います。今から100年前のことを記したグル-バウェルの『セレベス民族誌』によると、この地域はアニミズム信仰に基づき暮らしていたようです。また酋長・シャーマン・奴隷(女・子供)からなる階層社会であったことがわかります。女性は抜歯により顔が変形し、男性も一部に抜歯していたようですが、歯茎から抜くものでは無かったようです。このことから、女性は男性の欲望から目立たないよう抜歯をしたとも考えられ、少なくとも100年前は男性主体の考え方で行われた習慣の可能性が考えられます。

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